2004年6月16日に太田市にあります私立いなり幼稚園さんの保護者勉強会で当院の野口がお話しをさせていただきました。

私たちは現在、水いぼに関して一つの同意を得る目的で太田市内各地でお話しをさせていただいています。

いなり幼稚園さんにおかれましては私たちの考えをご理解いただき、このような場を下さり感謝しております。

いなり幼稚園さんは太田市中心地からすこし南西の細谷町という場所に、30年ほど前開設されました。
そこは全国的にも知名度の高い冠稲荷神社さんの一角です。
また群馬県指定の天然記念物である木瓜
(ぼけ)の木などもあり、桜の咲くころに赤い花を咲かせ、大変美しいとのことです。

大きい鳥居や広い敷地があり、敷地を利用した広いグランド、またたくさんの動物もいました。園児は大変のびのびと遊び、
活気が感じられました。

お話しさせていただいた内容は

  1. 皮膚は表皮・真皮・皮下組織から出来ているが、
    なんと言っても外界からのバリア機能を果たす表皮の状態を健やかに保つ事が大切である。
  2. 環境要因によりそのバリア機能が落ちると外部からの異物の侵入が容易になり、皮膚炎になる事もある。
    例えば髪の毛が原因の場合には床屋さんが治療するケースもありうる。
  3. 異物が侵入すると、免疫機能が働き、炎症反応が起こる。その機序を考えると薬剤で免疫反応の一部分を抑える事よりも、
    皮膚のバリアを強めてそもそも免疫反応が起こらないようにしておく方がよほど良い。
  4. 「アトピー」とは、「原因がわからない」という意味であり、医師からすると安易には使いたくない病名。
    アトピー性皮膚炎と言われてきた患者さんの中には単に石鹸の使いすぎで皮膚のバリアが壊れているだけの人も多い。
    そんな人の場合には体の洗い方を指導するだけで良くなる場合がほとんどである。
  5. またどうしてもアトピー性皮膚炎という診断名をつけなくてはならない場合もある。
    そのような場合、強い炎症はきちんと抑え、治まったら維持し、その子の皮膚が年齢とともに厚くなり、
    症状が自然に治まるのを待つことになる。
  6. そのためにステロイドを使うか使わないかでその医師を評価する事は無意味である。
    皮膚科専門医は国費を頂きながらステロイドの正しい使用方法を勉強してきた者なので、きちんと診断して症状・部位・面積・
    経過などを考えて使い分ける。
    そのような医師が使えば決して恐ろしい薬ではない。
  7. アトピーに対していろいろな営利目的の業者が「アトピービジネス」といわれるような詐欺まがいの行為を行っている。

    「この・・・を3年間使ってアトピーが治った!!」等のチラシを目にすることがあるが、医学的に考えると3年で皮膚が厚くなり、
    症状が出なくなったと考えるほうが自然なことがほとんどのようだ。
    民間療法を完全に否定するわけではないが、語弊を恐れずに極論すると、
    皮膚が厚くなるまでの期間に毎日コーラを飲んでいても症状は消えていったと考えられる。

  8. とびひの菌と鼻くその菌は、およそ8割の症例で一致する。またMRSAが多いので、
    全身に薬剤が行き渡る経口抗生物質よりも病巣に直接塗ることができるイソジンを使うことが基本。
  9. ヘルペスウイルス感染症(水痘など)、風疹と麻疹、またリンゴ病について、特徴と簡単な見分け方を説明。
  10. 水いぼを取るべきか否か、学会の流れや歴史的経緯、免疫学的根拠とともに説明。

上記の内容でお話しさせていただきました。

水いぼとそれにまつわる今までの流れ・治療方法についてはこちら(水いぼについて