2004年6月23日に太田市の私立新明幼稚園さんの子育て支援事業勉強会で当院の野口がお話しをさせていただきました。
私たちは現在、水いぼに関して一つの同意を得る目的で太田市内各地でお話しをさせていただいています。
新明幼稚園さんにおかれましては私たちの考えをご理解いただき、このような場を下さり感謝しております。
新明幼稚園さんは太田市中心地からすこし西の由良町という場所に位置しています。
ちょうど芋掘りをしたので近日中にカレーパーティーをするとのお話しでした。
各学年1クラス構成だからこそできる家庭的な雰囲気を感じました。また遊具が多種類あり、私が子供の頃なら垂涎モノです。
お話しさせていただいた内容は
- 皮膚は外界からのバリアを果たすためにあるとも言える。
その機能を果たす表皮の状態を健やかに保つ事は非常に大切である。 - 環境要因によりそのバリア機能が落ちると外部からの異物の侵入が容易になり、皮膚炎の原因となる。
その原因を除去しない限り治療は出来ない。
例えば髪の毛が原因の場合には床屋さんが治療するケースもありうる。 - 異物が侵入すると、免疫機能が(人体を国に例えるとちょうど軍隊のように)働き、炎症反応を起こして異物を破壊する。
その機序を考えると薬剤で免疫反応の一部分を抑える事よりも、皮膚のバリアを強めてそもそも免疫反応が起こらないよう、
異物の侵入を抑える事が大切。
- 「アトピー」とは、「原因がわからない」という意味であり、医師からすると安易には使いたくない病名。
アトピー性皮膚炎と言われてきた患者さんの中には単に石鹸の使いすぎで皮膚のバリアが壊れているだけの人も多い。
そんな人の場合には体の洗い方を指導するだけで良くなる場合がほとんどである。 - またどうしてもアトピー性皮膚炎という診断名をつけなくてはならない場合もある。そのような場合、強い炎症はきちんと抑え、
治まったら維持し、その子の皮膚が年齢とともに厚くなり、症状が自然に治まるのを待つことになる。 - そのためにステロイドを使うか使わないかでその医師を評価する事は無意味である。
皮膚科専門医はきちんと診断して症状・部位・面積・経過などを考えて使い分ける。
それができるのも大学病院等でステロイドによる皮膚の萎縮などを覚悟で使用せざるを得ない症例を経験して、「どんな部位に、
どのくらいの薬を、どれくらいの期間塗ったら皮膚がおかしくなるのか」を理解しているからである。 - そのような医師が使えばステロイドは決して恐ろしい薬ではない。
状態によっては強力な薬を短期間使用して一気に通常に近い状態に持っていく場合もある。
使い慣れていない、
つまりステロイドによる皮膚の萎縮などを経験していない医師が弱いステロイドを長期間に渡り使用したりしたほうが全身・
皮膚への影響が大きい。
- アトピーに対していろいろな営利目的の業者が「アトピービジネス」といわれるような詐欺まがいの行為を行っている。
「この・・・を3年間使ってアトピーが治った!!」等のチラシを目にすることがあるが、医学的に考えると3年で皮膚が厚くなり、
症状が出なくなったと考えるほうが自然なことがほとんどのようだ。
民間療法を完全に否定するわけではないが、語弊を恐れずに極論すると、
皮膚が厚くなるまでの期間に毎日コーラを飲んでいても症状は消えていったと考えられる。 - とびひの菌と鼻くその菌は、およそ8割の症例で一致する。またMRSAが多いので、
全身に薬剤が行き渡る経口抗生物質よりも病巣に直接塗ることができるイソジンを使うことが基本。 - ヘルペスウイルス感染症(水痘など)、風疹と麻疹、またリンゴ病について、特徴と簡単な見分け方を説明。
- 水いぼを取るべきか否か、学会の流れや歴史的経緯、免疫学的根拠とともに説明。
上記の内容でお話しさせていただきました。
水いぼとそれにまつわる今までの流れ・治療方法についてはこちら(水いぼについて)