2004年4月26日、メデカジャパン群馬ブロックさんの職員研修会で褥瘡(じょくそう)
と疥癬についてお話しをさせていただきましたので、報告します。
メデカジャパンさんは全国規模で介護事業も展開されている会社です。
今回は群馬県内、太田市・桐生市のグループホームとデイサービス事業所、
加えて高崎のデイサービス事業所よりたくさんの方々にお集まりいただき、お話しをさせていただきました。
この場を借りて御礼申し上げます。
内容としましては、褥瘡・疥癬についてのお話しでした。
- 寝返りが出来ずに組織への血流がなくなった場合、わずか2時間で壊死が始まる
- 万有引力がある以上、いくらエアマットなどを使っても接触して重みがかかる部分がどうしてもあるため、
高級なベッドや円座を用いても根本的な解決策にはならない - かかとの褥瘡を防ぐには、ふくらはぎ全体で重みを支えられるように毛布を敷くことも有用
- 特に褥瘡になりやすい腸骨(腰の周り)周辺を守るためには、足を四の字固めのように交差して枕などを挟む方法が良い
- 表面だけ見ても分かりにくいものなので、豊富な経験をもつ医師でも褥瘡の進行を正確に診断する事は難しい事が多い
- 今までの褥瘡分類(†††度)は状態をうまく表現できない事が多く、現在の皮膚科学会では黒色期・黄色期・赤色期・
白色期と表現している
- 表面が少しぐずぐずしているだけのように見えても潰瘍が骨まで達していることもあり、
場合によってはそれが引き金となり不幸な転機をたどることもある - 治療では表面を覆うタイプのものは細菌感染をひどくする原因となる事があり、
症状が軽いとはっきり診断できる場合以外には使えない - 潰瘍化して壊死した組織は掻き取り、潰瘍治療剤を使用すると回復が早いが、
適切な薬剤を選ばないと逆に進行させてしまうこともありうるので注意が必要 - 褥瘡がどれだけの深さに達しているのかによって、治癒後に痕がどれだけのものになるかが決まる
また疥癬については
- 使用する薬剤としては、試薬として販売されている効果の高いものがあり、それを使う事も有用である
- 介護・医療従事者の手洗いにはその試薬を希釈したローションを用いると簡便で感染の恐れがほとんど無い
- 疥癬は確定診断が難しいうえに痒みが 強いので、
診断を誤ってステロイド軟膏を使用した場合かえって状態を悪化させてしまう事もある。
よって疑わしい場合には専門医による診断が必要
- かゆみが強いので、場合によっては診断的治療を行うことも有用
上記の内容でお話しさせていただきました。
今後も皮膚疾患についての正しい情報をお話できるような機会を多く持てればと考えています。