2004年5月26日に太田市の私立さんぽう幼稚園さんで子供の皮膚についてお話しをさせていただきましたので報告します。
4月28日の講演会報告にてお話ししたように、私たちは今、
水いぼに関して一つの同意を得る目的で太田市内各地でお話しをさせていただいています。
今回は私立さんぽう幼稚園さんでお話しさせていただきましたので、こちらで報告します。
さんぽう幼稚園さんは太田市中心市街地にある、創立50周年を迎えられた歴史のある幼稚園さんです。
稲村園長は大変熱心な方で、私たちの考え方である「皮膚に関する正しい知識、特に水いぼについての情報を広めたい」
という点に共感いただきこのような場をいただけることとなりました。本当にありがたく思います。
(左:野口右:稲村園長)
お話しさせていただいた内容は
- 皮膚は表皮・真皮・皮下組織から出来ているが、
なんと言っても外界からのバリア機能を果たす表皮の状態を健やかに保つ事が大切である。 - 環境要因により表皮バリア機能が落ち皮膚炎になる事もある。これを治療するために皮膚科医がする事は、
その原因を見つける手助けをすることである。場合によっては床屋さんが治療するケースもありうる。 - ステロイドを使うか使わないかでその医師を評価する事は無意味である。
皮膚科専門医は国費を頂きながらステロイドの正しい使用方法を勉強してきた者なので、きちんと診断して症状・部位・
経緯などを考えて使い分ける。
そのような医師が使えば決して恐ろしい薬ではない。 - アトピーに対していろいろな営利目的の業者が「アトピービジネス」といわれるような詐欺まがいの行為を行っている。
民間療法を完全に否定するわけではないが、実際根拠の無いものが多く注意が必要。
(根拠がしっかりしていれば皮膚科学会等を通じたお墨付きを取れば大々的に販売できるでしょうし、
その結果もしかしたら何百億円の売上だって不可能ではないはずですよね。
訪問販売などするのはきちんとしたバックグラウンドが確立していないからだ、とも言えるでしょう。) - とびひは鼻くそをほじらなければほとんど感染しない。
- ヘルペスウイルス感染症の感染様式、発症様式について説明。
- 水いぼを取るべきか否か、免疫学的根拠とともに説明。
- 子供の日焼けについて、野口の考えを説明。
上記の内容でお話しさせていただきました。
水いぼとそれにまつわる今までの流れ・治療方法についてはこちら(水いぼについて)
一通りのお話しをさせていただいた後、たくさんの質問を頂きました。そのうちいくつかを紹介します。
足の裏のほくろについて
確かに他の部位にあるほくろに比べると悪性化の可能性は高い。しかし悪性化の可能性が高いとは言っても他の部分の癌に比べると、
さほど心配する必要は無いと考える。もちろん切り取る事もできるが、1週間近く松葉杖の生活が必要という側面もあるので、
取る取らないは個人の考え方による。
・・・上記説明の根拠・・・
※
国立がんセンター調べによると日本国内で足の裏にできる悪性黒色腫(ほくろから出来る事が多いといわれる癌)は年間およそ400†
500例程度、乳がんはおよそ20000例以上が発症するとされています。
悪性黒色腫の男女差は少なく(女性がやや多い)、乳がんの99%は女性に出来ると言う事を考えると、
女性には乳がんの方がはるかに危険であるということになります。
(なお、ここでは例数のみで比較しています)
赤あざは治療すべきか
学会でもレーザー治療すべきか否かという議論がある。
当院にも治療できるレーザーがある。しかし痛みもある治療なので、本人にある程度治療に対する「熱意」が必要。(赤あざのページ参照)
・・・等々、笑いも交えながらの約90分となり、
参加してくださった保護者の方々も楽しみながら皮膚に関する知識を得ていただけたのでは、と考えています。
今後も皮膚疾患についての正しい情報をお話できるような機会を多く持てればと考えています。